溺愛プリンス
国王は、ハルの背中を押し前に出るように促した。
続いてもう一人紹介する。
ジュリオットだ。
昨日も思ったけど、本当に可憐な女の子だな……。
あたしより、年下?
明るい太陽の下で見る彼女は、まだあどけなさもうかがえた。
それにしても、あたしなんかと比べ物にならないくらい、ハルの隣が似合っている。
真っ青な空と、真っ白な宮殿。
ブロンドの柔らかな髪に、天使のような微笑みにうっとりとため息にも似た歓声が起こった。
真っ直ぐに前を見据えるハル。
いつもの、嘘臭い笑顔はどこにもない。
まるで、ファブリック家のお屋敷にあった写真の中のハルだ。
痛々しくて、見てられないよ……。
そんなハルの隣で、ジュリオットは儚げに微笑んで民衆の声に応えている。
ジュリエットの瞳がハルを見上げる。
それに気づいたハルは、固まってた表情をにわかに崩した。
眉を下げて、頬を緩めたハル。
そうしてようやく、笑顔でみんなの声に応え始めた。
「…………」
そっか。
ハルは、受け入れたんだ。
次期王位継承者として、自らの道を受け入れたんだね。
あたしは、ハルの選んだ道なら、それがどんなものでも応援したい。
あたしだけが、きっと本当のハルを知ってるハズだから。
ね? そうだよね?
ハル……。