溺愛プリンス
肩の力が一気に抜けた気がして、崩れるように椅子に座り込む。
窓から空を見上げる。
刻一刻と姿を変える晩秋の空。
赤が紺色に変わっていく。
「…………」
涙を流せれば、少しは楽になったのかな。
言いようのないこの気持ちも。
なにもかも。
窓に手をついて、思いをはせる。
そうだ、あの時はあたし、ひとりでいると思ってて。
たしかこう言ったんだよね。
「……空が、…………」
言い終わらないうちに、誰かに抱きしめられていた。