溺愛プリンス
言ってもいいのかな?
やっぱり欲しいって、思っていいのかな?
「王子か王子じゃないかなんて……そんなの関係ないよ」
「志穂……」
揺れる瞳。
零れる涙で、ハルが見えない。
ゴシゴシ拭って、グイッと顔を上げた。
「ハルが、好き」
とびきりの笑顔を向ける。
えへへって、笑ってみせると今度こそ体ごと引き寄せられた。
肩口に感じる熱い吐息。
ギュウって全身で抱きしめられて、愛おしさがこみ上げる。
その背中に腕を回すと、吐き出すような声がした。
「もう絶対に手放さない」
「うん、……、絶対離さないで」
胸に顔を埋めながらそう言うと、ハルは一層強く抱きしめてからあたしとの間に距離をとった。
まっすぐに濡れた瞳があたしを射抜く。
ジワリジワリと頬に熱が集まって行くのを感じながら、ハルはそんなあたしのおでこに自分のをコツンと合わせた。
吐息もかかる距離。
前髪がかかってくすぐったいよ……。
「真っ赤だな」
「……ハルのせいだよ」
そう言うと、ハルは愛おしそうに目を細めてそれから、優しいキスを落とした。
甘い甘いキスの合間に、そっと囁かれた言葉に、あたしはまた涙が溢れたんだ。
―――結婚しよう。