溺愛プリンス
「なんだショーンか。そんなとこでなにしてる」
のんき!
あたしたち、裸なんだよっ!!?
一糸纏わぬ姿なんです!
ハルがあたしの部屋に朝までいて、しかもこんな恰好なんて……!
何してたか丸わかりじゃん!
死にたい……。
「なにしてる、じゃありません! 出立のお時間です。お忘れですかっ」
「……。 ああ、いや。忘れてない。今行く」
「なら急いでお支度を! まったく、何度呼びかけても返事がないから……」
一応気を使ってなのか、部屋に入ってこないショーンさん。
相当イライラしてるみたいで、珍しく声を荒げ、最後の方は愚痴なんて……。
す、すみません……。
なんか、全然寝てない気がする。
空が白み始めたのを、途切れ途切れに覚えていた。
恥ずかしさと、身体に感じる倦怠感に、たまらずため息が零れた。
息を吐き出した瞬間、必死に掴んでいたシーツはいとも簡単に持ち上げられる。
「志穂」
名前を呼ばれた瞬間。
寝起きの掠れた声が、キスと一緒に落ちてきた。
「行ってくるな」
「っ!」
ちゅ、と甘やかな音をたてて。
それは一瞬で離れていく。
そっとシーツから顔を出すと、シャツに腕を通しながらショーンさんの元へ歩いて行く背中が見えた。