溺愛プリンス
人の色恋を見て楽しむなんて、趣味悪い!
クルっときびすを返してお店に引き換えすあたしの腕を、王子がとっさに掴んだ。
「な、なにするんですかっ!離してくださいっ」
掴まれた腕を引き離そうとしても、それはびくともしない。
「信じられないのはお前だ」
「は?」
見上げると、ゾクリとするほど真っ直ぐに見つめられてて。
距離が近くて、王子の香水の香りが鼻をかすめて……。
め、目眩が……。
思わず息を飲む。
そんなあたしの耳元に王子はさらに顔を寄せた。
王子の髪が頬にかかり、ビクリと身体が強張る。
そして、低くてちょっとだけかすれた声が、あたしの頭を真っ白にした。
「男に媚びるような女だったとはな。
……幻滅だ」
「……」
震える。
これは強い力で腕を掴まれてるから?
それとも
この香水の香りに体がマヒしてきたから?
うんん、違う……。
瞼が
体が
掴まれた手首が熱いのは……。
バシンッ!