溺愛プリンス




耳の後ろからあたしを引き寄せると

王子の手があたしの顎を掴んで、口を少しだけ開ける。
その隙間から、スルリと舌が入ってきた。




「……っ!……」




あたしのすべてをかき回して、逃げても逃げても追ってくる王子。

とうとう捕まえられて……

身体がどんどん熱くなる。
あたしの知らないあたしが……溢れだしそうになる。



頭の中が、真っ白になって……。





「ん……んん!……」




――ガタ!



も、もうダメ……。



立っていられなくなりそうになった、その時。

静かに唇が離れて。
王子が距離をとった。




「志穂」

「………」





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