溺愛プリンス
何が起きてるのか、頭が理解するまで時間がかかった。
瞬きも忘れてて……。
「感謝しろ。これで、なかったことにしてやる」
「……」
な、かったこと?
少しだけ出来た隙間から、そんな声がぼんやりと聞こえる。
「……にしても。目くらい閉じろ」
「え……」
「色気のない女だな、まったく」
イロケ……、色気!!?
「……なな、なにするんですかっ」
一気に現実に引き戻された。
勝手にキスしといて、色気ないってどういう事!?
文句を言おうとして、出来なかった。
うんん、させてもらえなかった。