溺愛プリンス
恐る恐る顔を上げる。
「……」
……。
「威勢がいいな。……ま、上出来だ」
いう事は、めちゃくちゃ。
それにムカつく。
……だけど。
窓から差し込む太陽の光に照らされた王子。
柔らかそうな髪が、開け放った窓から吹き込む風に揺れて。
そのブルーの瞳が満足そうに、優しく笑っていた。
トク……
その時あたしは感じていた。
胸の奥の、ずっと奥に湧き上がった
生あたたかいモノの存在を。
だからなの?
ふたりをとりまく空間が
スローモーションみたいに感じて。
……なぜかあたしは、息をのんだんだ。