溺愛プリンス
「あ……ハル! 商品に手を出さないでって何度言ったらわかるんですか!」
「? 金は払う」
「はあ。……って!そう言う問題じゃないんです!」
ったく、何考えて……
眉間にシワを寄せたあたしに、ハルは呆れたようにため息をついた。
「……志穂はいちいちうるさい。だから男が出来ないんだ」
「な!……そ、それとこれは、か…関係ないですよ」
なんなのよぉ!
どういう神経してるの?
「まあまあ、ちゃんとショーンさんがお金払ってくれてるし」
ハルに食って掛かりそうなあたしの目の前に、両手が突きだされた。
「どうどう」ってなだめる仕草をするのは篤さん。
「篤さんがそんなだから、ハル王子が勝手におまんじゅう食べるんですよ! ちゃんと注意してください」
「そ、そう言われても……相手は王子様だし……」
キッと睨むと、篤さんは苦笑いをして頭をポリッと掻いた。
そうなのだ。
彼、ハロルド王子は、なぜか『月島』に入り浸っている。
しかも……。
「それにしても、感心しちゃうよね~、ハロルド王子」
「?」
いつの間にか隣に並んだ茜が、腕組みをしながらあたしを見た。
首を傾げると、意味深にくっと笑う。
……え?