溺愛プリンス
頭上から何か降ってきた。
「え……これは……?」
見ると。
胸元に、鍵をモチーフにしたネックレス。
そのあちこちにまるでここから見える夜景みたいに、キラキラ輝くダイヤが散りばめられていた。
キレイ……。
「……ハル、あの」
一瞬見惚れて、それから慌てて顔を上げた。
あたしの背後に回ったハルと目が合う。
驚いて、何度も瞬きをするあたしを見て、ハルはしてやったりと目を細めた。
「少し早い、バースデイプレゼントだ」
「え……」
思わずガタッと立ち上がる。
「そ、そんな……いただけません! こんな……」
高価な物!
ハルは慌てふためくあたしの反応を楽しむように口角をキュッと持ち上げると、いきなり肩をグッと掴んできた。
ひゃあああ!
ビクッと身体を強張らせたあたし。
そして、あっという間に後ろを向かされた。
な、なにっ?
「口答えは認めない」
ハルの華奢で長い指があたしの髪をすく。
胸まである髪をふわっと持ち上げられて、首筋に甘い吐息がかかる。
「黙って受け取れ」
「……でも」
「勘ぐるな。別に深い意味はない」
意味は……ない……?
「……っ!」
戸惑っていると、
首筋にかすかに触れた……唇。
それはあっという間に離れていって。
だけど、あたしの時を止めるには十分だった。