溺愛プリンス
……で。
この状況なにッ!!?
「……」
学校の校門の前。
さっきよりもジロジロと好奇の眼差しを体全身に受け止める。
もぉ、ヒロ兄!
いったいこれはどういう事なの?
昨日の今日なんだから、まだ噂は飛び交ってる。
そんな状況なのに、こんなとこで待たせるなんて……!
ヒロ兄が来たら絶対文句言ってやるんだから!
待つのってあんまり得意じゃない。
気持ちが焦るってゆーか……。
とにかく、待つのも待たされるのも、あたし嫌い。
だから待ち合わせとか嫌い。
茜と会う時はいつも、あたしが彼女の家まで迎えいに行ってたくらいなのに。
なんだか落ち着かなくて、スマホをタップする。
と、その時。
突然、メールの着信を伝えるバイブが震えた。
びっくりした……。
タイミングよすぎ……。
そのアドレスに見覚えがない。
「誰?」首を傾げながらメールを確認した瞬間、思わずスマホを落っことしそうになってしまった。
はあ!!?
「……なにそれ! ふざけないでよッ」
そう大きな声を出しながら乱暴にスマホを鞄に突っこむと、あたしはその場を離れた。