アンダー15
秋雨
校門を出ると、いきなり激しい雨がふってきた。幸い、ボクの学校は近い。ずぶ濡れ一歩手前で、アパートにたどり着く。背中にたかったようなランドセルを降ろすと、さっそくバイトに行く用意をする。
12歳でバイト?。あり得ない?。実際は、児童法とかなんかで、ダメなんだろうけど、うちの工場では、こっそり働かせてくれる。ボクは小学六年にしては、背も高いし、秘密にしている人たちには、バレてないみたいだ。
それに工場には、似たような境遇の子供が何人か来ている。もちろん表向きにはダメなんだろうけど。ナオヤは、父子家庭の子。中学一年。おやじの失業保険が今月中で切れたら、生活が見当もつかない、と、いつもこぼしている。ユキト、ナオヤと反対の母子家庭。ボクと同じ六年生、大人びた喋り方をし、どこか人を突き放した感じの男の子。そうして、紅一点、4人の中では、一番年長のサオリ、中学二年生。なんか、ヤンキーな姐さん。髪の毛、金髪、化粧ばっちり。「その身なり改めたら、バイトなんか、せずに済むじゃん。」と言ったら、「これ止めたら、私やなくなるもの。」との返事。まるで、自分の人生が、それにかかってるみたいな力の入れかた。軽い人なのかなぁ。
工場を経営してるのは、揚さん。名前からすると、中国系の人みたいだけど、どこの国の人かは知らないし、知る必要もない。工場の仕事は車の解体。秋雨はますます激しい。
ボクらが、工場で何やかやと細かい部品をいじくっていると、
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