オレンジ



あの頃は、あの人一筋だったんだなーって改めて思うよ



「一歩前進ってとこじゃない?」


「うん!」


「じゃ、次は話かけることだね」


「え?!」



は、話し掛ける?



「そ、そんな無理だよ!」

「無理じゃないよ!勇気をもって!遥希ならできる」



目をキラキラさせてあたしの手を握りながら勇気をださせようとしてる乃空


あなたは意外と鬼なんですね



「無理だよ!今は毎朝すれ違うだけでいいの!それだけで十分!」



そうだよ


毎朝すれ違う、それだけでも凄いことなんだから



「ふーん?」



面白くなさそうな顔をしてあたしを見ている乃空



「あたしはゆっくりでいいのー」


「まあー遥希がいいならいいんだけどね」



乃空はそう言って笑った



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