オレンジ
「えっ!…あ、いや…顔を上げて」
そういうと、困った様な顔をした遥希がいた
どうしよう…何を話そう…
そんなことを考えている時にも、沈黙が続いていて
「あ、あの…お礼がしたいから、連絡先教えてもらえませんか?」
「え?」
連絡先…?
「親に聞かなかったの?」
「え?あ、そっか…ごめんなさい」
「え?…あ、いや…」
気を利かせて、話題をふってくれたのに、冷たい返事しか出来ない
そして、同じ言葉を繰り返してる俺の前には、困った様に笑い謝る遥希がいて
こんな顔をさせたいわけじゃないのに…
「…じ、じゃ、また連絡します」
ペコッと頭を下げて、俺の横を通り、走っていく後ろ姿をただ見ている俺がいて…
大丈夫?の一言も言えない俺って…
あまりにも、ヘタレすぎる…