オレンジ
├Side小秋
「ありがとな」
そう言って近づいてきた人…
…っ…
「碼凪斗、そろそろ戻ろう」
「あぁ…」
そう言って隣から去っていく人…
知ってるよ…
知ってる
彼女がいることなんて
知ってるよ?
その彼女さんが心の病を持ってるってことも
だから…
諦めようとしてた
のに…
どうして?
どうしてっ…
こんなこと、するの?
「小秋ちゃん、もうすぐ着くから起きて」
そう言って起こしてくれた葉月ちゃん
「んー…もう?」
「うん、もうすぐ着くから」
ほんとはちょっと前に目が覚めてたけど
「なんか、よく寝た…」
今、目が覚めたかのようによそおった
「凄い熟睡してたよ?」
「うそー」
ねぇ、どうして?