オレンジ


俺とあの子が出会ったのは高校の入学式だった


多分、あの子は覚えてないだろうな



クラスが表示されてる掲示板の前で俺らは出会ったんだ




「おい、クラスどこかわかったかー?」



「いや、人が多すぎてみえねー」



「早くみつけろよ、おせー」



いや、お前も探せよ


なんて自分で探そうとしない同じ中学からきた、宏〈コウ〉に対して思いながら


人が多いここで自分たちの名前をさがしていた



「お!お前の名前あったぞ!」



と、振り返ろうとしたときに



ドンッ!



「きゃっ」
「え、」



と、俺の肩に誰かがぶつかった感触がした



この子、俺の後ろにいたんだろうなー



「だ、大丈夫ですか?」



言葉につまりながらも



鼻を押さえてる女の子に声をかけた



「…すいません」



と、その子は俺の顔を見ずに少し頭を下げてその場から去っていった


感じ悪っ…


それが、あの子…由希音の第一印象だった


今ではお互い極度の人見知りで、あの子にいたっては初対面の人に対して顔さえ見ることが出来なかったと知って


あー、だからあんな態度だったんだってわかった


それから、少し離れたところに立っていた宏を見つけ少し怒ったあと、俺の名前も見つけてその場を離れた




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