オレンジ



くそっ!リア充爆発しろー!


と、心のなかで叫んでみるけど


ただむなしくなるだけで、俺も教室をあとにした


エントランスに出てみると、さらに雨の強さを感じ、はぁーと自然にため息がこぼれた


どんよりとした空を見上げて、変わるはずのない、現状に濡れて帰ることを決心し足を踏み出そうとした時




「あのー…よかったら使ってください」



と言う声と共に水玉の折り畳み傘を差し出された



声の主を見たとき、俺の心臓は止まるかと思うぐらいびっくりした



「あ、あのー…大丈夫ですか?」



そこには傘を差し出し心配そうに俺を見てる由希音がいたんだ




「え?あ、えぇ?いいの?」



と戸惑いながら聞くと



「う、うん、もう一個持ってるから」



と、折り畳み式じゃない傘を俺に見せてくれた



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