オレンジ
「…っ…」
由希音を見つけた瞬間に声をかけようとして、息をのんだ
あの時の由希音の面影を残しながら、とても大人びた由希音がそこにいて
さらに綺麗になってる由希音がそこにいて…
由希音がこっちを見て目があった瞬間、俺は目をそらせず固まってしまった
そんな二人の間を風が通り抜けたとき、由希音はゆっくりと微笑んだ…
「し、瞬くん、久しぶり、だね」
「そ、そうだね…」
そう声をかけられたとき、俺はやっと口を動かす事ができた
お互いに緊張しているのか、たどたどしくて、少しの間がさらに緊張を高めさせた
「じ、じゃあ、行こっか」
「う、ん」
そう声をかけ、二人で肩を並べて車までの距離を歩いた
その間、会話はなかった
というか、何を話せばいいのかわからないくらい緊張していた