オレンジ
├離れてた分の距離
移動中の車内は、昔話で盛り上がっていた
けれど、誰も俺達の過去については触れなかった
つか、触れられなかったんだろうな…
そして、目的地に着いてからのテンションは倍になっていた…
「やっふぉーい!海ー!」
「宏、うるさいよ」
車から一番に降りて叫んだ宏に向かって冷静な対応をする李花
「うわーっ…海だー」
と、隣に立って言う由希音に自然と笑みがこぼれ
「そうだね」
と自然と返していた
ふたりで目をあわせ微笑み合って…
その瞬間だけは離れていた時間が嘘のように感じた
「おーい!何やってんだよ!みんな待ってるぞー」
と、先に行ってしまっていた宏の声に我に帰り、由希音から目を反らした
「ごめん!今から行くから!
ほら、行こう」
前半は宏に言い、後半は由希音に微笑みかけて歩を進めた