オレンジ
「由希音…」
さっきよりも近くで聞こえた声に体が震えた
いつの間にこんなに近くに来ていたのだろうか…
「由希音?今更だけど伝えたいことがあるんだ」
泣いているのがばれないよう口元を押さえた
「…あの日から1度も忘れたことはない…
好きです、よかったら僕と付き合ってください」
えっ…
思わず振り返ってしまった先に見えたのは
私に頭を下げて手を出している瞬くんだった…
その姿を見て思い出したのは最初に告白されたときの瞬くんで、あの日から何も変わっていないことに気づいた
涙が止まらなかった…
「…こんな私のどこがいいの?
可愛くないし、優しくもない…ただわがままなだけの私の…どこがいいの?」
顔を上げて驚いた瞬くんは、微笑みながら言ったんだ
「そんなの決まってる…由希音の良いところも悪いところも含めて全部が好きだから」
あの日と変わらない言葉を私にくれた…
「…っ…私もずっと忘れられなかった…ふったくせに何いってんだって思うかもしれないけど、
瞬くんのことが好きです」
その瞬間、温かい瞬くんの腕に包まれた
私も、もう二度と離さないようにぎゅっと抱き締め返した…
END