オレンジ



あの日…

わたしはその時に付き合っていた人にふられて泣いていた


この場所…空き教室の廊下側の壁に寄りかかって座り込んでいたんだ



「何してるんだ!」



え?
先生?


突然、上から聞こえた声に驚いて、見上げると


廊下から顔を出して笑っている立岬先輩がいたんだ…



「びっくりした?先生かと思ったでしょ?」



声が出せないくらい驚いたわたしは、うなずくことしか出来なかった



「待ってて、そこに行くから」



そう言うと、顔を引っ込めて後ろの扉から入って来て、わたしの隣に座った



「びっくりしたよ。寝ようと思って来てみたら先に座ってる人が居たから」


「ご、ごめんなさい…」



ここを使ってる人がいたなんて…



「謝らなくてもいいって!ここはみんなの場所だから…」



そう言ってにかっと八重歯を見せて笑った先輩




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