オレンジ



俺なんか、笑うようなことしたっけ?


疑問に思いながらも、何も聞けなくて



「なんだよ…」



なんて口にしていた



「わたし、入ります」


「え?」


「マネージャーになります」


「ほんと!?」



入ってくれることが嬉しくて、思わず大声を出してしまったけど、那佳宮も俺に負けないくらいな声で



「はい!」



って返事をしてくれたんだ



そのあと他愛もない話をして、ふと疑問に思ったことを聞いてみた



「なんで、泣いてたの?」


「あー…ふられたんです…付き合っていた人に…わたし、すごく好きだったんですけど、何が悪かったのかなぁ…」



その横顔が夕日に照らされていて…


悲しそうに話す那佳宮が、今にも消えてしまいそうで抱き締めようとしていた腕を慌てて引っ込めた





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