オレンジ




「しょうがないだろ?この家、ここしかベッドが無いんだから」



そう言ってにこっと笑ったたいちゃん


だからって…
簡単に寝ちゃうかなぁ…?



「なぁ…」


「ん?何?」


「本当に“あの約束”覚えてない?」


「え?」



たいちゃんは起き上がると、切なそうに笑った


その姿があまりにも切なすぎて、胸のあたりがキュンとするのを感じた



「俺さ…向日葵と離れている間、お前が他に好きなやつ作ってもう俺のことなんて、忘れてるかもしれないと思ったことがあった」



たいちゃんは俯き話しだした



「約束なんて、忘れてるかもしれないって思った。10年も前だし、その時、向日葵は8歳だったから」



時々悲しそうな顔をしながら、たいちゃんはあたしの知らない過去を話しだした



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