オレンジ
├特別
「先生、課題持ってきました」
俺はこいつを見ながら
「ありがとう、金井」
あいつを重ね合わせていた
「いえ当然のことですから」
教師のくせに
「お前は偉いな。姉ちゃんと違って」
この学校の元生徒だった…こいつの姉が今でも忘れられない…
「…恋乃梨〈コノリ〉は元気にしてるか?」
俺は、教師のくせに生徒を好きになってしまった
「そんなこと聞かれても、あたしも会ってないから分かりませんよ」
「そっか…そうだよな」
だから、俺が見ていたあの時の恋乃梨をこいつに重ね合わせて見てしまう
もう、会えるかさえも分からないのに…
あいつは今、自分の夢を叶えるため隣の県にいる
「先生も本当に好きだね」
「悪いか?」
「別にー」