オレンジ
何故かこいつには一瞬でバレてしまった
「そんなに好きなら卒業式の日に言えばよかったのに」
確かにこいつの言うとおり
卒業式の日に言えればよかった…
「言えてれば、良かったのにな」
俺はあの日…
伝えることが出来なかった
あの日恋乃梨は、俺に花をくれた
ただ一言
『ありがとうございました』
とだけ言って、俺の好きな笑顔を見せてくれた
その笑顔が何も言えなくしてしまった
「コノは何ていう花くれたの?」
“コノ”って言うのは、恋乃梨のことだ
「さぁ?そんなこと俺に聞かれても分からんよ」
「えー?花、調べてないの?」
そう言って俺を睨んできた美乃里