オレンジ
「わたしね、ずっと先生に言えなかったことがあるの…」
…言えなかったこと?
「本当は、卒業式の日に言おうとしたの…でも」
そういって俯いた恋乃梨
「…でも?」
なんだよ…
「…でも、言えなかった…先生の泣きながら笑う姿がすごく切なくて…」
涙を堪えながら話す恋乃梨が、俺の胸を締め付けた
「…でも、綺麗だったの…綺麗すぎて、言えなかった…
…っ先生?わたし、ずっと先生のこと好きだったの…」
涙を目に溜めて、真っ直ぐ俺を見て言った
「…ずっと、忘れられなかった…だから、伝えにきたのっ」
涙が一粒流れた瞬間、俺は恋乃梨の腕を引きギュッと抱き締めた…
「俺も…俺も、お前がずっと好きだった…忘れられなかった…」