ひとりぼっち
「なに、偽善者ぶってンの?つか肩痛いんだけどっ!死ねよ!死ね!死ねええ!」


ブンッ!
ブンッ!


怒りに任せたように鎌を振り回す咲にもう昔の面影はなかった。


それをどこか泣きだしそうな目で見ていた雷斗はノコギリを大きく振り落とした。



「あ、あああああああああああああああ!」



ザシュッ!


「ぎゃああああああああああああああああぁ!」


咲から真っ赤な鮮血が吹き出し、雷斗を濡らす。



「は、ははははは…ッ。は…」

頭にノコギリが刺さり、目は見開いたたまま咲は倒れた。
頭から脳みそのようなものが見えているのが分かる。
止まらない血。
頭から肩から覗く赤い赤い肉塊。

だが僅かにまだ動いている。

それを見て、圭がいち早く動いた。

「おい、雷斗。ペンチ貸せ」

「は…、はははは…」

「もう、いい。星奈。奪え」

「ん。」

放心状態の雷斗から星奈はペンチを奪うと圭に渡した。

「生きているうちにやらないと罰を受ける。よし、星奈やるぞ」

「うん。これで全員が罰とか嫌だからね。私、爪やるから、圭は足。雷斗は手ね」

「は、はははははははははははははひはひひはひは」

「…無理、そうね」

「まあいい。早くやるぞ」

「えぇ」



僅かに動いている咲に二人は容赦なく襲い掛かった。

「あああああああ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


まだそんな声が出せるのかと思うような叫び声に雷斗はまだ放心状態のまま何故か泣きながら笑っていた。

星奈のペンチで爪を剥がれる。

圭は自分の服を破り、その布で咲の腕をキツク縛ってから勢いよく切り落とす。

「あっう゛あう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛」

咲の目から涙が一筋零れ落ちた。

死ぬことさえ許されず絶え間なく続く友人だった者達から与えられる苦痛、恐怖…

咲がその時見えていた世界はどんな世界だったんだろうか。



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