ひとりぼっち
一方。


『ああああああう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛あああああああああ』


ここ、モニタールームでももちろん咲の叫び声が響いていたのだが…



「くっははははは!」

響いていたのは咲の叫び声だけではなく、蓮の笑い声も部屋に反響して、なんとも言えない狂ったハーモニーを生み出していた。


モニターを見つめながら笑っている蓮が心底おかしくてしょうがない、そんな笑い方をふと止め、無表情になったのを後ろで控えていた由美は見逃さなかった。
狂っている。確かに狂っている。でもそれは由美自身も同じ。どこか美しさまで感じる蓮に由美は静かに口元を緩ませた。
(いい上司に巡り会えて幸せだ。頭に感謝しなくては)


「もっとだ」


ふと蓮の綺麗で細い指が喚き声が小さくなりだした画面の咲を愛しそうに撫でる。
壊れ物に触れるように優しく。



だが言葉として出てきたのは愛情のかけらもない憎悪の篭った言葉。


「もっと、もっと、苦しめ」


「苦しんで、苦しんで、たっぷりこの世界に絶望してから死ぬがいい」


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