老人ホームと女子高生
「あー。悠希さん、ちょっといいですか?」


ムカつく声に振り返る。

アイツだ。
あのイヤミ野郎だ。


「ぷっ。」



イヤミ野郎はチャイナドレスを着せられ、化粧までされていた。


元々、顔立ちはいい方だったのだろう。

似合っている。


「んだよ。見んじゃねぇ。つか、なんで俺だけ女装なんですか?」


「あら?似合っているわよ。それ着れる男の子、森本君しかいないんだもん。いいじゃない?目立ってるし!みんな喜んでるでしょ?」


「確かに娘さんをいじめましたけど、こういう仕返しは反則じゃないですか?」


「なぁにぃ?ひなた、いじめられたの?」


ママ…仕返ししてくれたんだぁ…


「ええ?私、こんな人知らないよぉ?」


「くそ~っ!」



「ダメよ~、年頃の娘はそんな汚い言葉使っちゃ。勿体無いわ。」



「もう、いいです。失礼しました。」



諦めて下がろうとしたチャイナに魔女は呟いた。


「これもサービスよ。」



去りながら、チャイナは小さな声で答えた。


魔女にはそれが聞こえたのか、微かに笑っていた。


「そっすね」
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