冬の奇跡
終わり、始まり

死んだ


 2月25日、
私は死んだ。

 ちなみに殺されたんじゃない。
私の自殺。自分の意志。

 小さいころから周りは私を羨ましがった。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、
おまけに家はお金持ち。
そんな私だから欲しい物はなんでも手に入ったけど、
私の心が満たされることはなかった。
だけど大好きな彼は違った。
たった一人の私の理解者であって
心の支えだった。
だった。
 ある日見てしまった。
彼が知らない女とキスをしていたところを、
何もかもどうでもよくなった。
だから、あの日私は家にあった風邪薬やら
何やらを大量に飲んだ。


 今、私は自分の葬式を見ている。
不思議と誰一人泣いてはいなかった。
いや、だいたい予想はしていた。
誰一人.....!
「泣いて、いるの....?」
私の目に入ってきたのは
あの日、知らない女とキスをしていた彼氏。
名前は...『ユウタ。』
どうして...
ユウタが私の写真の前で何か言っている。

「ジュリ...ごめん。。
ごめん...ごめんな...
俺、本当に、ごめん。」

 ジュリとは私のコト。
それより、どうして...
どうして謝ったりなんかしているの?
どうして?

「大好きだ...ジュリ..
俺は、もう、ジュリ意外とはもう...
...恋なんて、しない....」

 嘘。
だったらなんであの日、あの日!
どうしてユゥ?
ねぇ...
聞きたいよ。
こんなに近くにいるのに。。
わたしの声も届かない。。

 この時私は初めて死んだことを後悔した。
しないはずの後悔をしてしまった。

ポタ...

 気づけば私の目からは涙があふれていた。

「神様...お願い、もう一度。
私にもう一度チャンスをくださいいい!!」

 その時、
私の前からユゥはいなくて、代わりに
小さな川が流れていた。

「...ぇ」

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