闇の貴公子に偽りの愛を
第四章 ウィッチの森
「アヴィニー。今日はね、ピーナッツサンドを持ってきたの!」
シルヴィアは小さなバスケットからピーナッツサンドを取り出し、アヴィニーに渡す。
「ありがとう。シルヴィア!」
シルヴィアは小さく微笑み、自分の口にピーナッツサンドを運んだ。
「……誰と話してるの?」
…っ!
「だ、誰?!」
シルヴィアはアヴィニーを抱き締める。
「僕はロジェンスって言うんだ。ウィッチの森に妖精が居るって聞いたから……」
「私はシルヴィア。妖精ならここに……見えないかもしれないけど……」
アヴィニーを掌に乗せ、ロジェンスに差し出す。
「僕には見えないみたい。」
ロジェンスは俯く。
どうすれば見えるのかな…
あっ!
指輪……
「ロジェンス、手を出して………」
シルヴィアはロジェンスの左手の薬指に指輪をはめる。
「どう?見えた?」
「シルヴィア…見えるよ!妖精が見えるよ!」
ロジェンスは優しく微笑んで見せた。
「アヴィニーって言うのよ。」