Noёl
多分、史上最高の間抜け顔。
彼女の言う意味がわからずに、俺はただ口をパクパクさせた。
「予定っていうか、行かなきゃいけないとこがあるの。そこに付き合わせちゃうけど、それでいいなら…」
「ぜ、全然っ!全然いいよっ!」
思い切り言う俺に、彼女は初めて小さく笑った。その笑顔に、俺は惚れたんだ。
一年の時同じクラスだった彼女。
俺の言うしょうもない冗談にいちいち見せるその笑顔が、可愛くて愛しくて仕方なかった。
ずっと憧れていた彼女。
そんな彼女と、クリスマスイブを一緒に過ごせるなんて。
俺多分、今日この学校で一番幸せな男だ。
「でも」
「え?」
「でも、何で俺ならいいの?」
単純な俺の疑問に、これまた単純に彼女は答えてくれた。
「だって河口、面白いから」