コンプレックスなふたり☆
「え?」
目をパチパチと瞬かす。
そして、フッと中学生とは思えないほどの、綺麗な笑みを浮かべた。
周りや渡した少女はごくりと息を呑み、その美しさに見惚れる。
「…嫌いなもんか」
目を細めながら、四角い形をした箱を優しく撫でて一言。
「好きだ」
辺り中から、キャーッと煩いくらいの悲鳴が沸き起こる。
あたしもあの触られている箱になりたーい!と叫ぶ女子軍団続出。
だがそんな声さえ今の彼女には届いていない。
何故なら頭の中は貰ったクッキーでいっぱいだからである。
「……ありがとな」
「い、いぇえ!」
ブンブンと腕を振り回す女の子は顔が赤くなっていた。
「ししし、失礼しますっ!」
バッと身を翻し、走って武道場を出ていく彼女。
それを優希は、笑んだまま見送った。