コンプレックスなふたり☆
「あー…、これでまた、渡す子増えるね」
「何か言いました?」
「ううん、なーんにも!」
こっそりと発した言葉が聞こえたらしく、不思議そうにする優希に誤魔化す様に笑顔を見せる。
「それにしても、後輩って本当、初々しいというか…、可愛いよねぇ」
女の子が出ていき、未だに開け放たれている武道場の扉を眺めた。
「………そう、ですね」
海先輩が言ったことに、顔を歪めながら同意する。
(本当、可愛い)
羨ましいくらいに。
「……私にとっては優希ちゃんも、可愛い後輩のひとりなんだよ?」
自嘲気味に笑みを零しながらふるふると首を横に振る。
「お世辞はいりませんよ」
頬をポリポリ掻きながら、苦笑いした。