コンプレックスなふたり☆
それは。
「……海先輩。何度言えば分かるんですか」
実に嫌そうな表情を浮かべ、そう言った張本人を見やる。
「いつもそう呼ぶの、止めて下さいと言ってるでしょう?」
鬱陶しそうに前髪を掻き上げる。
それだけでまた黄色い声が辺りを支配した。
彼女等はもうその声には慣れたとでも言う様に無視し、話しを続ける。
「…そんな怒らなくてもいいじゃない?」
「怒ってません。呆れてるんです」
しかめっ面のまま即答する少女、工藤優希(クドウユウキ)。
「あ、そうなの?」
天然パーマのショートへアを可愛く揺らしながら首を傾げる。
今度は女子ではなく、男子から逞しい雄叫びが上がったが、それさえもスルーするふたり。