コンプレックスなふたり☆
(…ここらでいいかな)
人がいないのを確認して、持っていた竹刀を振り始める。
ブンッと風を斬る音が、竹刀を下ろすたびに耳を通り抜ける。
それが心地よかった。
無我夢中で竹刀を振り続けていると、突然甲高い悲鳴らしき声が聞こえた。
(……何?)
眉を寄せ、竹刀を下ろす。
先程の悲鳴ほどではないが、嫌がる声が未だに彼女の耳に届いていた。
優希は数秒、その方向を見つめていたが、それをふと竹刀に向けた。
(……今、竹刀が手元にある)
ぎゅっと強く握り締める。