コンプレックスなふたり☆
が、バタンと何かが倒れる音がしたので優希だけは仕方なくチラリと横目で見やる。
「たっ、田中ぁあ!!」
「保健室だ、急げ!」
ふたりがかりで太り気味の倒れた男子一名をヨロヨロとよろけながらもなんとか運びながら武道場を出て行った。
途中、うー死ぬ、重すぎだろこいつ!と運んでいた生徒が言っていたのは、聞かなかったことにしよう。
それにしても。
(…………またか)
はぁと息を吐き出す。
彼女、青鳥海(アオドリウミ)はこの学校のマドンナ的存在。
彼女の笑顔を初めて目にしたものは、必ずといっていいほど失神する。
それほど、あの笑顔はキラキラ輝いているのだ。
現にあの男子生徒がいた場所には鼻血の海が広がっている。
(……あれは、凶器に近い)
優希も、初めて見た時は眩しすぎて軽く目眩がした。
ぶっちゃけた話、保健室の先生はどうやらそれで困っているみたいだ。
だが、それはどうしようもないので放置しているみたいだが。