コンプレックスなふたり☆
「……はぁ」
「え、何? その重苦しいため息」
「……はぁ」
わざとらしく、もう一度ため息をつく。
「もう、何でそんなにため息つくの?」
(これだからこの先輩は…)
彼女の場合、直接伝えなければ絶対に伝わらない。
心の中でもう一度ため息を零すと口を開いた。
「……どうしたら先輩は“優希くん”と呼ばなくなるんですかね」
さらりと淡々とした口調で“優希くん”の部分を強調すると、流石に彼女も理解したのか苦笑する。
「ごめんってば、優希ちゃん! でも、悪い意味で言ったわけじゃないんだよ?」
「……」
隠さずおもいっきり眉を寄せる。
(…分かってるよ、そんなこと)
彼女は優希の先輩に当たる人物で、ひとつ年上の中学三年生。
丸くて大きなパッチリとした瞳にふんわりしたショートへア、小柄な容姿はとても愛らしい。
因みに優希よりも背が低い。