コンプレックスなふたり☆


「……俺、お前が好きなんだ」


そう言った彼の口調は、とても優しかった。


「……う、そ」


(あたしのことが…、好き?)


「本当だから」


遥はこんなことで嘘ついてどうすんだよ、と苦笑いしている気がする。


「……でもあたし、可愛くない」


(…可愛い女の子は他にいっぱいいる)


なのにどうして…と目を潤ませて呟くと、可笑しそうに少年はフッと笑う。


「……可愛いよ、他の誰よりも」


そう耳元で囁かれ、顔がゆでダコのように赤く染まった。


(…今、山下はどんな表情をしているのだろう)


顔を横にずらして、遥を視界に捕らえる。

少年の表情を見て、安堵したように頬を緩ませた。


「こっち向くな」


顔をぐいっと前に向かされるが、それに抵抗しようとは思わない。

だって彼も、真っ赤だったから。

それがなんだか嬉しかった。



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