Little World 〜幼なじみ〜
走りだそうとした時、香奈に腕をつかまれた。
チッ…、なんだよ。
「莉子のジャマする気?颯也は、今この子といるんでしょ?」
香奈の横では、風夏が小さくなって涙目で地面を見つめていた。
「だったら、何だよ!」
「あんた本当に莉子の事大事だったら、なんでこの子といるの?部活だなんて嘘ついて…」
「ちげーよ!無くなったんだよ、いきなり」
「じゃあどうして莉子にすぐ連絡しないの!莉子の事傷つけて、何様?あたしは許さないんだから、莉子を平気で傷つけるなんて。
先輩と一緒の方が、幸せになれそうだね。じゃあ、あたしは帰るから。続きしていいよ」
そう言って、香奈は帰っていった。
なんだよ、何が言いたかったんだよ。…莉子が傷つく?そんなワケない。男として見られてないんだから。
「…行きたいなら、行けば?」
俯いていた風夏が喋り出した。今にも消えそうな声で。
「とっとと、行けば良いじゃない!その女の所に!!」
「ふ、うか?」
こんな口調だったっけ?女って、わっかんねぇ…。