Little World 〜幼なじみ〜
「……っ…、」
だけど、その後に聞こえたのは泣くのを必死で我慢している声だった。
振り向くと、今にも泣きだしそうな顔をしていた。
「…っ、…颯也なんか…大嫌い…っ!」
“大嫌い”って言葉が深く胸をえぐった。同時に腹が立った。さっきは、あいつに“好き”とか言いやがって…。
俺は、大嫌いなのかよ…
「離してってば…っ」
「無理、離さない。離したらどっか行くだろ?」
「なに…、自分ばっかり…!あたしに嘘ついて…風夏ちゃんと…いたくせに!」
……これってヤキモチ?
あいつに好きだとか言ったくせに、なに言ってんの?
「…意味わかんねー」
「意味わかんないのは颯也の方でしょ!?なんで追いかけてくるの!…風夏ちゃんと、ずっと一緒にいればいいじゃん…っ。可愛いし…素直そうだし…。
…だけどあたしは…ただの……幼なじみだもん!」
そう言い切った途端に、莉子の目から涙が溢れだした。