てん ―The pure story―
「奈央ちゃん、〔てがる〕のご夫婦に知らせたほうがいいんじゃない?」
ベティママが言った。
「だいじょうぶ、僕たちお手紙書いてきた。ねーっ」
青年が首をかしげて言って、すばるも首を縦にふって答えた。
その手紙を掴んで、〔てがる〕のおじさんとおばちゃんが店に飛び込んできた。
「よかったぁ。いたいた。こいつがつい居眠りしたらしくて、申し訳ない」
「ごめんね、心配したよ。でもよかった」
〔てがる〕の夫婦が胸を撫でた。
「とりあえず、座っててくださいな。今飲み物を用意します」
ベティママがそう言って入り口の鍵を閉め、看板の明かりを消した。
「僕とすばるはジュース。しゅわしゅわするのは飲めない」
「シュワシュワ?ああ、炭酸ね。はいはいわかりましたよ」
ベティママはくすくす笑った。