てん ―The pure story―



「今日は土曜日で混みそうだろ、正直言ってすばるちゃんやてんちゃんの相手してらんないと思ったんだよ。暇な午前中に大量に作ろうと思ってカウンター入ったら、てんちゃんがやりたいって。失敗してもウチのお昼にすればいいや、ってんで教えたんだよ。一度で、僕おぼえたっ!って言うもんだから道具握らせたの。そしたら早い早い、形も味もバッチリでさ。おじさん随分楽させてもらっちゃった。おまけに女子校生なんか、おじさんっ誰、誰、このひと誰っ?なんて、今日の分ほとんどはけちゃった。てんちゃんハンサムだもんなぁ」




おじさんが本当に満足そうに、タカシの肩を叩いた。




「それに優しいのよ。はいありがとう、やけどしないようにねっ、ってニッコリするから、おばさんたちにも凄い人気。いつ雇ったの、なんてね」




おばちゃんも笑った。




「このまんま、ウチの跡継ぎに欲しいね。なんて主人に言ってたのよ」




「そうしたいのはやまやまだけど、本当の親御さんも必死で探してるかもしれないしね」




おじさんとおばちゃんは顔を見合わせた。


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