てん ―The pure story―
タカシは突然カウンターの角の女性に目をやった。
そして、彼女の背後にまわりそっと手を伸ばすと頭を撫で始めた。
「泣かないで。ぼく、涙をドロップスに変えてあげるから」
彼女の頭を撫でていたタカシの手が、すっと涙で濡れている頬をなぞった。
「はい、どうぞ。これをなめれば、だいじょうぶ。魔法のキャンディだから」
開いた手には、カウンターに置いてあったガラス瓶の中のキャンディーがいつの間にか握られていた。
「ベティママ。だれ?この人」
涙目の彼女がその目を丸くした。