てん ―The pure story―
「なんであれ、女性に手をあげるなんてサイテーね」
ベティママは不機嫌そうに言った。
「私が馬鹿だったのよ。レイダースの斬りこみやっていた、なんて言葉にうまくひっかかっちゃったから。会社での愚鈍な行動をよく見れば、そんなデタラメすぐ気づいたはずなのに」
しのぶはめそめそと泣き続けていた。
「レイダースって何年か前解散した暴走族の?」
ベティママがティッシュの箱を渡しながら言った。
「暴走族じゃないわ、バイカーって言うのよ。当時不健康な連中はみぃんな憧れていたんだから!」
しのぶはムキになって言った。
「じゃあ、健康な連中は何に憧れてたの?」
ベティママの言葉にしのぶは言った。
「モチ、サーファーよ。そう言えば山本のやつ、あいつサーフィンもプロ級だなんて言ってたわ。ぶよぶよのお腹見たときに完璧な丘サーファーだって気づけばよかった。あーん、なんて馬鹿!」
「自画自賛するヤツは、人に相手にされない証拠よ。だから自分でホラを吹いて宣伝するしかないのよ。それでさっきの男はあなたに矛盾点をつかれあせってカッとしたのよ。気をつけなさい」
ベティママにぴしゃっと言われて、しのぶは自分の愚かさに今まで泣きじゃくっていたのだ。