てん ―The pure story―
手際よく、見事なカクテルが出来上がった。
「信じらんない、かっこよすぎ」
うっとり眺めていたしのぶが、ため息をついた。
「てっ、てんちゃん。どこで習ったの!?」
ベティママが唖然として言った。
「さぁ、よく覚えてない。幼稚園だったかも」
タカシが真面目に答えた。
「こりゃいいや。俺にも幼稚園で習ったカクテル作ってくれ」
タカシのテクニックに見惚れていたカウンターの他の客が、解けた緊張の後で大笑いしながらそう言った。
「うん、いいよ。どの色がいい?」
タカシはニコニコして身体の位置をずらすと、背後の棚を客に見せた。