てん ―The pure story―
思いがけない出会い
「夏休みもあとわずかだわ。新学期までに住む所を探さなくちゃ」
そう思いつつも、奈央はあてもなくぶらぶらと歩いていた。
パラパラパラとラッパのような音がして、続いて爆音が耳をつんざいた。
奈央が振り向くと、十数台のバイクが塊のまま迫ってくる。
「暴走族!」
奈央は反射的に路肩に飛びのいた。
先頭のバイクがタイヤを鳴らして止まり、後続車もそれに習った。