てん ―The pure story―
タカシはベティママが週末彼にサラリーを支払うと、怪訝そうな顔で見た。
「遠慮しないでいいのよ。少ないくらいなんだから」
ベティママは再度、封筒を差し出した。
「これは、子供が持ったらいけないお金だよ。僕一日50円でいい」
タカシはそう言ってつっぱねた。
ベティママは大笑いをしてタカシに50円渡し、残りを奈央によこした。
「とっときなさいよ。邪魔になるわけじゃないし、てんちゃんの食費随分かかるでしょ」
「それが、昼と夜はふたりとも〔てがる〕でご馳走になってるんです。おばちゃん是非そうしたいって言ってくれて。だからお金は大丈夫です」
奈央は封筒をつき返した。
「楽しいのよ。それにあんたたち手伝いのお金受け取ってくれないって、おばちゃん困ってたもの。その分遠慮なくご馳走になれば?」
ベティママは無理やり奈央の手に封筒を握らせた。