てん ―The pure story―
すばるがしゃべった!
それからまた半月ほど経った朝ごはんのとき、すばるがいきなり喋った。
タカシがごはんの度に元気に「おかわりっ」と言って茶碗を差し出すのにつられて、すばるもよく食べるようになっていたのだが、タカシのおかわりに負けじと、ぎーぎー言って茶碗を出していたのがいきなり「おかーり」と言った。
奈央は嬉しさのあまりタカシに抱きついた。
タカシは不思議そうに
「ぼくすばるのお父さんてクジラだとずっと思っていた。だってテレビでみたクジラに鳴き方そっくりなんだもの」
と言った。
それから、少しずつ確実にすばるは言葉を増やしていった。