てん ―The pure story―
水木かおりは、校則がわりと甘い奈央たちの高校でも目立っていた。
学校へは出席日数ギリギリ程度しか登校してこないのに成績は常にトップクラスで、教師も仕方なく大目に見ていた。いつも毅然としていて誰ともツルまない。
しかし、暴走族のグループに入っているなどとは誰も知らないだろう、と奈央は思った。
髪を赤茶に染め、化粧を施した彼女は、顔立ちの美しさも手伝って16歳とは思えぬほど大人びていた。